「水を透すもろい火山灰層」(南海タイムス2008.8.22号より)

「水を透すもろい火山灰層」
水海山の地質 坂巻氏が指摘
水海山の自然と処分場問題を考える集い


 環境地質学が専門の日本環境学会前副会長・坂巻幸雄氏=写真=を囲んで6日夜、住民有志主催の集会「水海山の自然と処分場問題を考える集い」が大賀郷公民館で開かれた。約90人の出席者の中には、浅沼町長、沖山宗春議長、町の住民課職員の姿もあった。

 坂巻氏は、この日確認した水海山の地質について、「水を透しやすく、崩れやすい火山灰層でできている」と、地盤のもろさを指摘。「地下水の本体はかなり深いところにある」とみられることからも、八丈島を研究している専門家の提言を仰ぐ必要性を指摘した。


 集いは、町議の菊池睦男さんと菊池綾子さんの司会で進行。丹下真理さん、玉井由木子さん、赤松純一さん、金城雅子さんが、一般廃棄物管理型最終処分場の計画地となっている水海山の自然や島の水への感謝の思いなどを述べたあと、坂巻氏の講演へと移った。

 この日、町の住民課職員の案内で水海山を視察した坂巻氏は、水海山の地質について「各所に土砂崩れの跡がある。非常に水を透しやすく、もろい火山灰の地層でできていて、処分場を整形しても、下の土が洗い流されて空洞ができてしまう恐れがある」と説明した。

 水海山の地下水については、本体はかなり深いところにあるのではないかと、坂巻氏はみる。「3カ所の地下水のボーリング調査では、地表下13.5メートルの所に地下水面があるが、さらに掘り進むとその水は抜けてしまいそうだとの話を聞いた。一組(東京都島喚町村一部事務組合)の資料が出てきたら、詳しく吟味しなければいけない」と、これまでの調査資料をもとに感想を述べた。

 管理型最終処分場の立地を検討する際は、底の地盤が緻密で水を透しにくいことが条件になる。環境省が決めた基準の100分の1しか水を透さず、理想的なケースとして建設された千葉県富津市の産業廃棄物管理型処分場ですら、水を透しやすい薄い火山灰層があったのを見落としていたために、そこから汚水漏れが起こったという。「事の本質に比べたら、調査の期間は短かすぎる。 (6月20日付けの)南海タイムスに3人の水や地質の専門家の声が載ったが、みなさんの考えは大筋で共通していて、きちんとした調査をやるべきだと指摘している。

 この方々は八丈島での豊富な研究データをお持ちなのだから、行政の側でお願いして提言を仰ぐといいのでは」と述べ、客観的な指摘ができる研究者による第三者機関の組織化を提言した。最後に、「住民運動は下手をすると最初からけんか腰になって揚げ足取りをしがちで、身の置き所に困ってしまうが、今晩の集まりは、いろんな立場の人が解決しなければならない課題に対して合意を作っていこうという、いい雰囲気で終始した」と、語った。



調査費用と期間は


 意見交換では、調査に要する費用と期間に対する質問に「群馬県下仁田町では、ゴルフ場予定地を産廃の最終処分場に転用する計画を、町長はじめ町ぐるみで反対し、事業者は建設を断念した。そこでは住民自身が調査に参画し、水の流れや四季の変化をつかむために約3年の時間をかけた。費用はやり方によるが、 300万円から1000万円程度の範囲でできるだろう」と述べた。

 さらに、様ざまな参加者の声を聞いて「処分場は山の上よりは人の目の届く所にある方が、日常的に監視しやすい」と話した。



環境問題との関わり

 坂巻幸雄氏は1956年に通産省に入省。93年に定年退職するまで地質調査所の主任研究官として国内外の地質の研究に携わってきた。6日の講演で、鉱山地質家がごみ問題と関わるようになった理由を、「地中にある重金属は水に出会うと溶けたり、細かい粒子になって散らばる。ごみの中の汚染物質も一緒で、埋め立てたものはなかなか無害化せず、時限爆弾のように忘れた頃に暴れ出す。臭いも味もしない水の中に含まれていたごく微量の力ドミウムをそれと知らずに毎日摂取し続けた結果、イタイイタイ病が起こった。日常的に取り入れる水は慎重に扱わなければならない。

 鉱山でつちかってきた汚染水対策の技術は、ごみ処理にも活用できるので、こうした問題を抱えたいろんな地域から呼ばれます」と語った。

写真は6日、水海山で露出している地層を確認する坂巻氏。翌日は、持参した電気伝導率の計測器で島内の水道水源や湧水、表流水の水質を調査した。



(出典:南海タイムス2008.8.22号より)
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