過去の洪水跡確認 (2008年9月19日 南海タイムスより)

津久井准教授 「豪雨時の水量 評価を」

最終処分場計画地・水海山で、過去にも何度も洪水があったことを示す土石流の堆積物が見つかった。(=写真キャプション・「れきが並んでいて、降り積もった火山灰とは堆積の仕方が違う」と津久井准教授)。八丈島の地質、火山噴火史を研究して20年になる千葉大学大学院理学研究科の津久井雅志准教授が9日、確認した。
 土石流の堆積物は、都道から計画地に向かって40メートルほど入った道沿いにあり、道路面からの高さは約2メートルに達する。
 「水海山周辺は、もとは三原山東部の新しい火山の溶岩や火山灰が堆積してできた緩やかな平地で、そこに刻まれた谷底にに処分場と取り付け道路が計画されている。普段は水の流れがなくとも、台風や集中豪雨のときには、周囲に降った雨が斜面に沿って集まり、泥や砂とともに路面を流れる」と、津久井氏はいう。
 また、計画地周辺は急斜面であるため、手が加えられると不安定になり崩れやすくなるという。
 「人工的な被覆のない現状でも、大量の降水が一時にあると地下に水が浸透する速度が追い付かずに洪水が起きてきた場所なので、地表を遮水シートやコンクリート・アスファルトで覆えば、洪水が日常的に起きるようになる。処分場に焼却灰等が入っていない段階ではよくても、いずれ満杯になった頃には、ごみ自体が溢れ出る可能性も懸念される」と、立地の特性を指摘した。
 「地下水は専門ではない」としながらも、表流水と浅い地下水については「地形に沿って海側へ流れる」と述べ、東京都島嶼町村一部組合がこれまで説明してきたことと同じ意見だった。ただ、地下の深いところへ浸透した水の流れについては、調査をしなければわからないという。 
 洪水跡が見つかったことは「水源への影響をいう以前の問題で、慎重な対応が求められる」と津久井氏。「水海山での豪雨のときの時間あたりの雨量や連億雨量の実績の把握が必要。17年の長い期間にわたり使用し、その後も事故なく管理していくためには、きちんと水量を評価して、十分余裕をもった仕様で対応する必要がある」といも語った。

南海タイムス記事2009年1月16日号 確認されたレッドリスト掲載種は都版52種、環境省版13種

水海山の自然環境影響調査
確認されたレッドリスト掲載種は都版52種、環境省版13種

レッドリスト
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 水海山に一般廃棄物管理型最終処分場を建設することによる周辺環境への影響を明らかにすることを目的に東京都島嶼町村一部事務組合(一組)が実施した「自然環境影響調査」で、計画地周辺にはレッドリスト(=レツドデータブック)に掲載されている野生生物が東京都版で52種、環境省版で13種確認された。住民による情報開示請求で明らかになった。
 同調査は、パシフィックコンサルタンツ(株)が受託し、昨年7月に報告書にまとまったが、一組議会でこの報告書を公開しなかったのは、「計画地にしか存在しないような野生生物種が確認されなかったため」と、一組では話している。

 植物の調査は、計画地とその周辺200メートルの範囲で、夏季07年7月、秋季は同10月、春季は08年4月の合計7日間行われた。確認した植物種は95科282種。このうち重要な種は17科26種(東京都版レッドリストは14科15種、環境省版は3科7種)あった。帰化植物は14種で、全体の5%と少なく、報告書は「自然度が高い立地であることが伺える」としている。

 このほか、自然公園法で定められた特別地域内指定植物(富士箱根伊豆国立公園)が14種確認され、これも重要な種に分類されている。動物の調査は、植物と同じ範囲で、07年7月から08年4月までに合計13日間行われた。確認した種類は、€ほ乳類=1種 鳥類=31種¡両生・は虫類=1種¤昆虫類=504種水生生物=14種。このうちレッドリスト掲載種は、東京都版が鳥類8種、昆虫類27種、水生生物2種。環境省版が鳥類6種だった。

 事業の実施に伴い、対象事業実施区域内で消失する恐れがある重要な種は、シシラン、ミヤマタゴボウ、イヌコウジュの3種。特にイヌコウジュについては、対象事業実施区域内では改変区域のみで確認されており、調査地域から消失する恐れがあるとしている。

 自然公園法の第3種特別地域内にある水海山での着工に必要な「基準の特例」の手続きを行う環境省関東地方環境事務所(さいたま市)では「現在、処分場全体の内部審査を行っている最中で、個別のコメントはできない」と説明している。


環境省では…

 レッドリストは、日本に生息、生育する野生生物について、生物学的観点から絶滅の危険度を評価し、絶滅のおそれのある種を選定したもの。環境省自然環境局野生生物課では、レッドリストにある野生生物が確認された区域内での開発行為を行う地方公共団体や事業所に対しては、「生息環境に影響が生じないよう、何らかの措置を講じていただくようお願いしている」と話している。


絶滅危惧種

モスケミソサザイ
モスケミソサザイ
(撮影・高須英之さん)
モスケミソサザイ

 環境省版レッドリストにあるスズメ目・ミソサザイ科・モスケミソサザイ(体長約10.5センチ)も水海山で確認された。近い将来に絶滅の危険性が極めて高い絶滅危惧IB類で、伊豆諸島の固有亜種(留鳥)。よく発達した常緑広葉樹の自然林に多く、倒木や苔むした岩などの多い場所を好む。2月中旬頃から7月中旬頃までさえずっている。八丈島で見られるのは局地的で、御蔵島を除いて、生息に適した常緑広葉樹林の減少、分断化が進んでおり、個体数が減少しつつあるという。


オオツルコウジ
オオツルコウジ
(撮影・桜井衛さん)
オオツルコウジ

 環境省版レッドリストにある絶滅危惧IB類のヤブコウジ科・オオツルコウジ。常緑低木で、高さ10~30センチ。白い花が赤い実になる。絶滅の危険性が極めて高い種だが、報告書によると、水海山には調査地域のほぼ全域に生育している。

南海タイムス記事2008年12月12日号 焼却灰半減へ

焼却灰半減へ
「古紙・ダンボールリサイクル 八丈建機サービスが事業化」 来年1月から


圧縮梱包機
紙の自動圧縮梱包機

 自動車・産業廃棄物のリサイクル事業を展開している三根、株式会社八丈建機サービス(代表取締役・須貝維一郎さん)は、来年1月から、町のクリーンセンターで焼却されているごみの約半分を占める古紙、ダンボールのリサイクル事業に乗り出す。また現在、クリーンセンターで焼却されている伐採木をチップにし、焼却・廃棄されている魚類加工残さ、焼酎かす、牛の糞尿を混ぜて堆肥にする施設「木材チップ再生ヤード」も整備する計画を進めている。これが実現すれば、八丈島の焼却灰(昨年度414トン)は、大幅に減ることになる。

 「再生すれば資源になるごみが、八丈島では焼却され、埋め立てられている。特に自然の枯渇につながる紙は大切にしなければならない資源。鉄は掘れば出てくるが、パルプ(樹木)は時間がたたなければ大きくならないし、伐採するほど温暖化が進む。通産省も日本がパルプを大量輸入しているのを気にしている」と、須貝さん(68)は、紙の再生事業を姶めることの動機を語る。

 リサイクルするのは、新聞、雑誌、ダンボール。古紙、ダンボールの島内での廃棄量は、古着を含めると八丈町が焼却しているごみ約4000~4100トンの約半分と推定されている。

 古紙類の回収方法について、町では資源ごみ(缶、ペットボトルなど)の回収日に一緒に回収することを検討しており、「開始は4月以降」(町住民課)になる見込み。


圧縮梱包機を導入


 回収した古紙類は有価物のため、八丈建機サービスが町から買うことになる。同社は、需要に応じて輸出するか、国内の製紙メーカーに納めるかを決める。町が取り組むと年間2000万円の赤字になる試算が出ているが、須貝さんは梱包を機械化し、輸送法を工夫すればコストを抑えることは可能、としている。

 すでに紙の自動圧縮梱包機=写真=は1400万円で導入しており、それを設置する建物を現在、同社の隣に建設中だ。


木材チップ堆肥化


 「木材チップ再生ヤード」の用地は、クリーンセンター隣接地の民有地5.95ヘクタールを購入した。造成面積(140メートル×90メートル)の内訳は、再生ヤードが4060平方メートル、浸透池が675平方メートル。

 伐採木の焼却量は、クリーンセンターへ持ち込まれているごみの多くを占めている。

 須貝さんは「ガラスは細かく破砕すれば、生コンの砂代わりになる。将来は中之郷処分場に埋め立てられているごみも減らしたい」と、次のステップを見据えている。

南海タイムス記事2008年12月12日号 ざつおん「7億円の波紋」

ざつおん「7億円の波紋」

 4000人を超える署名とともに提出されていた処分場計画の見直しを求める住民の要請は11月25日、東京都島嶼町村一部事務組合(一組)の臨蒔議会であっさり退けられた。

 計画地の水海山の複雑な地形は、地質学の日本環境学会前副会長・坂巻幸雄氏と干葉大学准教授・津久井雅志氏のほかに、地下水の専門家が「崖崩れや士石流などの地形の攪乱(かくらん)があったことを示す地形」と指摘しており、洪水跡まで確認されている。

 「中之郷で失敗していて、水海山がダメならもう造れない。国との信頼関係でも一組の言うことは信用されなくなる」。9月の説明会で、一組の加藤事務局長が話した言葉だ。水海山がいかに処分場に適していないかは、事業費20億円に地盤改良費7億円を追加したことで明らかだが、一組は八丈島の水のリスクやコストより、「国との信頼関係」を優先し、水海山に造る方針を変えようとしなかった。

 しかし、7億円は、各方面に波紋を広げている。「地盤改良費は、事前になんの連絡もなく、いきなり出てきた。これは一組への信頼性が揺らぐ問題。7億円の増額がわかっていれば、計画推進の要望は出さなかった」。

 10月24日に続いて、秘密会となった11月27日の町議会全員協議会終了後、議場から出てきた議員のひとりが、こうぼやいた。浅沼町長も、11月25日の一組臨時議会に出席するまで、7億円増額の件は知らなかった。

 一組によれば、増額は、水海山の生活環境影響調査と実施設計を行ったパシフィックコンサルタンツと一組事務局が協議して決めた。そして金曜日の11月21 日、島嘆町村会の財務会議で一組は伊豆諸島8町村の財務担当職員に増額の件を説明した。連休明けが25日。財務担当職員と各町村長は入れ違いになった。

 11月27日の全協では、地盤改良費の増額は「住民に説明ができない」との声が出され、一組に来てもらって説明を求めるかどうかも議論になったという。

 振り返ると、この処分場問題は、4月の説明会に端を発している。一組は町執行部と町議に対しては「水源への影響調査はしていないので、説明しようがないしと回答したが、その夜、住民には「水源への影響はない」と断言した。これが、そもそもの始まりだった。

 4 月の説明会で一組が示した処分場の実施設計は、7月以降大きく変わった。残土置き場(約5000平方メートル)とその防災調整池の建設をとりやめ、開発面積は1.63ヘクタール(約60メートル×約100メートル)に縮減された。さらに、処分場の掘削深度を浅くし、底面を2メートルかさ上げした。しかし、水海山の「透水性のある地層」の上に建設することに変わりはない。

 そして、変更前の実施設計は何だったのか、という疑問だけが残る。土壌改良に使うセメント固化剤の量は「言えない」(一組)という。一組によると、八丈島の処分場の総事業費27億円の財源内訳は、補助割含が大島処分場と同じであれば、国庫補助7億6300万円、都補助1億7300万円、地方債(借金)16億6100万円、町村負担金1億300万円になる。8町村の借金となる地方債は、15年償還で、そのうちの約半分は都の交付金が充てられる。ただし、交付金はそれぞれの年の財政事情に左右される。

 7億円は、他の町村にとっても重い負担だ。処分場建設は8町村の広域事業。25日の臨時議会で議題にあげる前に、各町村議会に諮るべきではなかったのか。八丈町議会も、これほど大きな間題を不透明なままの議論で終わらせてはいけない。

東京新聞2008年12月3日記事

2008年12月3日、東京新聞に関連記事が掲載されました。

東京新聞2008年12月3日記事
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八丈島にごみ処分場計画


くさや、焼酎、黄八丈。全国屈指の降雨量を誇る伊豆諸島・八丈島の名産品は名水が支えている、という。その水をめぐり島が揺れている。島民の水がめとされる三原山系に、一般ごみ焼却灰の埋め立て処分場が計画されているためだ。

名水の森 危機
ひょうたん形の八丈島。その南側に位置する三原山の周遊道路を車で登る。標高400メートルの「水海山」。八丈富士を背に島内を一望する景勝地・登龍峠から深い森林を分け入ると、処分場の予定地に着いた。
 アシタバ畑だった草地を、スダジイの巨木やシダの群落が包む。「水海山の緑と水を守る会」の玉井由木子さん(40)は「美しい地名のイメージ通り」と話す。わき水が豊富で島民の水がめである三原山系でも、特に雨が多い場所という。
 処分場建設は、十年来の難題だ。いったん決めた予定地は、もともと焼却灰を不燃ごみと一緒に埋めていた場所の隣接地だったが、近隣住民の反対にあった。地権者も用地の売却に応じず白紙に。周辺に住民がいない町有地の水海山は、次善の策として選ばれた。 
 しかし、水海山は水源より高地にある。町と事業主体の都島嶼町村一部事務組は「水源に影響はない」とするが、島民は「複雑な地下水脈を調査していない」と反発する。事務組合によると、一番近い水源は計画地から2キロほどの場所だという。
 八丈島の年間降水量は、屋久島、尾鷲などに次いで全国四位。まろやかな味にするため、島のくさやは水で洗ったり漬けたりの作業を繰り返す。くさや製造所の二代目でもある同会事務局長の長田隆弘さん(46)は「命の水を象徴する森に、処分場などとんでもない」とする。
 同会は、島人口(約八千四百人)の半数近くにあたる約三千八百人の島民の署名を集めた。一方、議会側は十四人のうち十二人の連名で建設推進を事務組合に求めた。
 沖山宗春議長は「もたもたしていたら、都や国から「八丈島は何をやっている」と言われかねない」と、島の公共事業全体への影響を懸念する。来年一月には町長選が予定されているが、争点になるかはわからない。
 ごみ問題を真剣に考えてこなかったことには、島民からも反省の声が上がる。島で燃やすごみのうち古紙が四割、プラスチックや生ごみも分別されていない。若者で結成した「チーム八丈島」の丹下遊さん(34)は、「ゴミが減れば大きな処分場はいらなくなる。規模縮小で、適地はいくらでも見つかるはず」と提案。勉強会を活発に開いている。

※八丈島一般廃棄物最終処分場計画
 1999年の厚生省(当時)通達で、遮水シート等がな処分場には、焼却灰の搬入が停止された。2001年、自前の処分場を持つ小笠原村を除く島しょ8町村は、大島、三宅島、八丈島での処分場建設を決定。06年に大島が完成。暫定的に大田区に運ばれていた年間400トンの八丈島の焼却灰は現在、大島で埋め立てられている。八丈島は、来年4月着工、11年完成予定。総工費27億円、埋め立て容量4万9500立方メートル。
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